2026.01.08 カテゴリ:Web & Digital Insight

2025年11月に公益社団法⼈⽇本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構が主催する「第13回Web GRAND PRiX(企業グランプリ部門)」の結果が発表されました。
第13回となる今回は、企業77社・89サイトがエントリーし、305名の審査員による相互評価でグランプリと優秀賞が決定しました。
私も審査員の1人として参加しました。
結果はコチラから https://award.dmi.jaa.or.jp/pdf/wgp2025_release_20251113.pdf
アクセシビリティ賞はこちらから https://award.dmi.jaa.or.jp/pdf/wgp2025_release_20251119.pdf
企業のデジタル表現の成熟度が高まる中で、今回の結果からは 「デザインの美しさ」だけではなく、“体験設計そのもの”が評価の軸になっていることが読み取れます。
アビリブとしてもWeb戦略支援に携わる立場から、各グランプリ受賞サイトの注目ポイントを整理してみました。

https://www.shueisha.co.jp/2026saiyo/
総評:ブランドを“体験させる”採用サイト
採用サイトの枠を超え、出版社の世界観に没入できる体験型UI設計が圧巻。
◎ UI/UX
・タイポグラフィ・レイアウトのメリハリが美しく、視線誘導が圧倒的にスムーズ
・モバイル表示の快適性が高く、CTA(エントリー動線)も直感的
◎ クリエイティブ
・動画・アニメーションを“主張しすぎないバランス”で配置
・画像のトーン統一によりブランドの空気感が統一
◎ SEO/LLM対策
・情報構造が階層的・整理されており、クローラビリティが高い
・コンテンツ単位での内部リンクやタグ設計が丁寧
◎ ターゲット訴求
・就活生が知りたい「職種理解」「働くイメージ」をストーリーとして提示
・インタビュー導線がわかりやすく、マッチング精度向上に寄与
総じて、“ブランド × 採用”の理想形に近いサイトといえます。

https://lumiarch.ntt-east.co.jp/
総評:BtoBメディアに必要な“専門性×感情移入”が両立
地域課題・共同創造をテーマにしながら、読み物としての質・構造・UIの完成度が極めて高い。
◎ UI/UX
・スクロールジャーニーが滑らかで、記事の読みやすさが特に優秀
・フィルタ・カテゴリ設計が直感的 → 記事探索性が高い
◎ クリエイティブ
・アイキャッチ写真や図版が丁寧に作られ、ビジネス文脈でも“心が動く”トーン
・情緒と情報のバランスが絶妙
◎ SEO/LLM対策
・記事タイトルが検索・レコメンドに強い構造
・1記事あたりの本文量・E-E-A-T(専門性)も意識されている
◎ ターゲット訴求
・地域自治体や企業担当者が「共創の事例」を簡単に深く理解できる
・BtoBコンテンツの価値伝達が非常に正確
「BtoBサイトのあるべき完成系」という印象です。

https://www.mitsubishi-motors.com/jp/sustainability/contribution/people/kids/index.html
総評:子ども向け教育コンテンツの最良UX
“子どもにクルマづくりの面白さを伝える”という明確な目的が、UI/UXに美しく翻訳されているサイト。
◎ UI/UX
・大きめのタッチターゲット
・ひらがな混じりの読みやすい文章設計
・アニメーションのテンポが子どもに最適化
◎ クリエイティブ
・キャラクターの統一感が高く、ブランドとの親和性も◎
・教材としても成立する精度のイラスト・図解
◎ デバイス最適化
・モバイル主体で設計 → スマホ学習に最適
・動画も軽量化されており、通信環境が弱くても快適に表示
◎ ターゲット訴求
・“体験するように学べる”構成
・保護者にも安心・信頼を感じさせる導線
企業のCSR活動をユーザー体験として成立させた好例です。

https://www.daimaru-matsuzakaya.com/vi/
総評:アート×Webの融合で世界観を最大化
圧倒的なクリエイティブで、“ブランドの多様性”を体験として魅せるサイト。
◎ UI/UX
・スクロールに応じて世界観が展開する演出
・アニメーションの流れが自然で“気持ちよい”体験設計
◎ クリエイティブ
・アートディレクションの次元が高く、百貨店の伝統×革新を表現
・カラー/タイポ/モーションが完全に統一
◎ デバイス最適化
・PC/モバイルどちらも高パフォーマンス
・リッチコンテンツでも滑らかに動作
◎ ターゲット訴求
・“百貨店の理念を新しい文脈で伝える”という目的を達成
・若年層にも届くビジュアルコミュニケーション
プロモーションサイトの新しい基準といえるほどの完成度です。

中外製薬 創業100周年サイト
https://www.chugai-pharm.co.jp/100th/
総評:アクセシビリティを“制約”ではなく“体験価値”へ昇華した好例
アクセシビリティ賞のグランプリに選出された中外製薬 創業100周年サイトは、
「誰一人取り残さない」という思想を、Web体験そのものとして丁寧に実装したサイト。
単にガイドラインに準拠するのではなく、企業の歴史・研究への姿勢・未来への視線を、
すべてのユーザーが等しく受け取れるように設計されている点が高く評価されたといえます。
◎ UI/UX
・スクロールや操作に依存しすぎない、落ち着いた情報展開
・情報の階層構造が明確で、現在地を見失わない設計
・読み手のペースを尊重したUIで、安心感のある体験を提供
◎ アクセシビリティ設計
・文字サイズ・行間・コントラストへの十分な配慮
・キーボード操作やスクリーンリーダーへの対応を前提とした構造
・装飾や演出よりも「情報の正確な伝達」を最優先した設計思想
アクセシビリティ対応が“特別な機能”ではなく、
サイト全体の基盤として自然に組み込まれている点が印象的です。
◎ クリエイティブ
・過度な演出に頼らず、写真・テキスト・余白で語る表現
・創業100年の歩みと、研究開発への真摯な姿勢が静かに伝わる
・企業ブランドの信頼性を損なわない、抑制の効いたビジュアル設計
◎ デバイス・環境配慮
・PC/スマートフォンいずれでも情報取得体験が均質
・通信環境や利用状況に左右されにくい安定した表示
・長時間閲覧しても疲れにくいUI設計
◎ ターゲットへの訴求
・患者・医療関係者・株主・学生など、多様なステークホルダーを想定
・特定の層に偏らず、「企業の姿勢」を公平に伝える構成
・100周年という節目を、企業ブランディングと社会的責任の両面で表現
Webにおけるアクセシビリティの重要性が高まる中で、
本サイトは 「これからの企業Webのあるべき姿」を示す指標の一つといえるでしょう。
私たちも、2023年に 一般社団法人 明石観光協会 様とともに制作したWebサイトにおいて、
Webグランプリ アクセシビリティ部門でグランプリを受賞する機会をいただきました。
https://www.akashi-mercato.jp/
当時も、「誰もが情報にアクセスできること」を前提に、
観光情報をいかにわかりやすく、正確に、そして誠実に伝えるかを徹底的に考え抜きましたが、
今回の中外製薬 創業100周年サイトを拝見し、
アクセシビリティに対する理解や表現が、さらに一段階進化していることを強く感じました。
アクセシビリティは“対応すべき要件”ではなく、
企業や組織の姿勢そのものを伝える体験価値へと確実に広がっています。
その変化を改めて実感するとともに、私たち自身も大きな刺激を受けています。
これまで積み重ねてきた経験を土台にしながら、
より深い理解と実装力を備えたWebづくりへ。
今回の受賞結果は、私たちにとっても次の挑戦への背中を押してくれるものでした。
今後もアビリブは、
アクセシビリティを含めた“すべての人に届くWeb体験”を追求し、
事業成果と社会的価値の両立を目指したWeb制作・DX支援に取り組んでいきたいと考えています。
■ コーポレートサイト賞
・ニッカウヰスキー公式サイト https://www.nikka.com/
・竹中庭園緑化 https://www.takenaka-teienryokka.com/
・日清食品グループコーポレートサイト「nissin.com」 https://www.nissin.com/jp/
■ BtoBサイト賞
・世界のお題にまさかの新発想|日本ガイシ × サラリーマン山崎シゲル https://www.ngk.co.jp/yamasakishigeru/
・岩崎電気株式会社コーポレートサイト https://www.iwasaki.co.jp/
■ BtoCサイト賞
・Shupatto ブランドサイト https://www.shupatto.com/
・グリーンパーク山東 https://greenpark-santo.com/
・東急・東急電鉄公式サイト https://www.tokyu.co.jp/
■ プロモーションサイト賞
・GOOD FOODS World(ニッスイ) https://www.nissui.co.jp/goodfoods_world/index.html
■ アクセシビリティ賞
・野村不動産株式会社 公式ウェブサイト https://www.nomura-re.co.jp/
・⽵中庭園緑化 https://www.takenaka-teienryokka.com/
・⽇ハム式 たんぱく質未来マップ https://www.nipponham.co.jp/tanpaku-mirai/
・集英社 2026年度 採⽤サイト https://www.shueisha.co.jp/2026saiyo/
・東急・東急電鉄公式サイト https://www.tokyu.co.jp/
いずれも領域特性に合わせたUI設計・ブランド全体の表現力が高い。
今回の受賞傾向から読み取れるトレンドは以下の通り
1. UI/UXの“操作感”が重視
・スクロール体験
・読みやすさ
・動線の自然さ
が非常に重要。
2. ブランドストーリーを体験化するクリエイティブ
・ビジュアル
・モーション
・トーン
これらがサイトの価値そのものとなっている。
3. モバイル最適化は必須基準
・モバイル表示の軽快さが年々厳しく評価されている。
4. SEOだけでなく“LLM最適化”を意識
・情報構造
・コンテンツ粒度
・内部リンク
がよりシステム的に整備されている。
5. “誰に向けて作るのか”というターゲットの明確化
ただ綺麗なサイトではなく、目的に応じた最適化が評価される時代に。
直販支援のWeb制作に携わっている私の見解として、
今回のグランプリ5作品はいずれも “ユーザー体験を中心に据えたサイト制作” の模範となる事例といえます。
・体験を作るUI/UX
・ストーリーを伝えるクリエイティブ
・ユーザーに届く導線設計
・事業成果と結びつく設計思想
・アクセシビリティを体験価値に
これらをどう皆様のWebサイトにも活かしていくか。
あらためて今回の受賞作品は、そのヒントになるといえます。
そのほか、審査委員特別貢献賞を受賞された皆様おめでとうございます。
最後に、このような素晴らしい取り組みを評価・発信し続けている
公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構、
ならびに「第13回 Webグランプリ」運営の皆さまに、心より感謝申し上げます。
公益社団法⼈⽇本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構主催 第13回Web GRAND PRiX
https://award.dmi.jaa.or.jp/