2022.09.16 CATEGORY:コラム
少し前であるが、日本旅館協会によると「旅館の予約経路別比率の約半数がOTAになり、自社サイトを加えると60%がオンライン予約になった」というニュースがあった。最近、中国でも「中国のホテル市場の回復を牽引(けんいん)するデジタル流通、2025年にはオンライン比率が67%に拡大の予測」というニュースがあり、予約のオンライン化はますます進む予測である。一方で観光庁より8月1日に「宿泊施設を核とした観光地のDX推進に向けた実証事業」の公募が開始された。
この二つの出来事は一見、無関係に思えるが実はつながっている。どういうことかというと、「これからの時代、旅行の予約の大半がオンライン化されるので、そのデータを単館のみではなく、エリア全体で活用しましょう」ということである。
オンライン予約比率が、ある宿は高く、ある宿は低いなどということがあるとデータにバラツキが生まれるが、全体の60~70%がオンライン予約となると、そのエリアに来るお客さまのデータを合算した時に、かなり正確なデータが取れるはずである。
例えば、このような事例があった。夏休みということでステレオタイプ的にファミリープランを作り、ファミリーを待ち構えていたが不発に終わった。その要因分析においてエリアのデータを可視化したところ、そもそも、そのエリアには夏休みにも関わらず15%程度しかファミリーがおらず、大半が夫婦と一人旅だったのである。つまり、いないターゲットに対して施策を打っていたため、不発であるのは当たり前である。
これがエリアデータ分析を行わなかったとすると、「ファミリーへのPRが足りなかったのかもしれない」という誤った仮説設定のもと、ファミリーへの投資強化をしてさらにずっこけるということも起こりえたのである。
今後、インバウンド6千万人時代を目指して、これが国単位になってくる。わがエリアはこの時期にどの国のこういうお客さまが増えるということが可視化できていれば、しかるべきタイミングでしかるべきエリアに効率的にマーケティングを仕掛けることができるのである。今後はそのようなことも地域としては考えていかねばならない時代となる。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)
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