2023.09.29 CATEGORY:コラム
観光庁の令和6年度(2024年度)予算の概算要求が発表された。総額のみで見ると240億円と前年度の2・2倍となった。(うち、今年度の高付加価値化事業の継続費用120億円のウエイトが大きいものの、増額した形である)。
注目したい点が3点ある。まずは、人手不足対策である。今年度の2・67倍となる4億円の要求となっており、観光庁としても業界全体で取り組むべき課題として認識していることが読み取れる。その内容は、(1)人材確保支援として、「企業説明会の出店支援」や「採用HP・パンフレットの作成」(2)設備投資支援として、「配膳・清掃ロボットの導入」「チャットボット」「PMS」などの省人化につながるシステム導入の支援(3)外国語人材の確保として、「観光地における外国語対応人材の確保」―など、かなり具体的な支援策を明示しており、来年度に向けて人手不足解消の施策の一環として、心づもりをしておきたい。
2点目が(引き続き)インバウンド対策である。「地域における受入れ環境整備促進事業」として、約19億を投じて観光地の整備に力を入れる方針である。一例として、「多言語翻訳機器やキャッシュレス端末の整備」や「(キャリーケース移動のためやバリアフリー対応として)段差解消」などが挙げられている。また予算項目は分かれているが、「通訳ガイド制度の充実・強化」なども予算として挙げられている。
最後が持続可能な観光推進である。いわゆるオーバーツーリズム対策や観光地のGX化(グリーントランスフォーメーション=脱炭素化社会に向けた社会変革)などが盛り込まれている。
京都など一部の観光地では、オーバーツーリズムが課題になっており、今後さらに多くの海外ゲストを迎えるにあたって、更に深刻な問題となることが懸念されている。
以上、非常に端的であるが、観光庁の次年度の概算要求について解説をした。予算案はすなわち観光庁が目指す日本の観光の在り方を映し出しているので、日本がどのような方向に観光を進めていくかを示している。その方針に100%従いましょうという主旨ではないが、少なくともその方針を理解して、活用することは宿泊施設においても重要な施策となるはずである。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)
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